久保の家
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消えた三角点

三角点の保護石  ほぼ標高560メートルの等高線に沿って上野(うわの)地籍を横切る農道の脇に、かつて4個の自然石をコンクリートで固めた構造物がありました。
←2012年9月14日撮影


四等三角点「上野」


 久保と水中の集落に挟まれ、南東から北西に向かって傾斜している上野地籍を YAHOO! JAPAN の地図で見ると、構造物のある場所に「・563」と記されています。

 国土地理院の「ウォッちず」には、△の中に・のある記号とその隣に563.2と記載されていて、三角点が設置されていたことが分かります。

基準点  国土地理院の三角点などの情報が掲載されている「基準点等閲覧サービス」で調べると、ここは「四等三角点 上野」であることが分かりました。
基準点コード TR45438729801
等級種別   四等三角点
冠字選点番号 K同8
基準点名   上野

四角い穴

保護石  ところが「四等三角点 上野」はしばらく前から4個の保護石があるだけで、三角点を示す真ん中の標石はなく、四角い穴がぽっかり空いているだけになっていました。
 2012年9月14日撮影

そこで最新の「基準点等閲覧サービス」でこの地点を表示させると、 地図に三角点の記号はなくなっていて、「基本基準点」で検索しても「検索条件に該当する基準点はありません」という窓が現れ、「詳細情報」をクリックしても何も示されません。


地籍調査と三角点

地籍調査とは

地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です。 「地籍」とは、いわば「土地に関する戸籍」のことです。 各個人には固有の「戸籍」という情報があり、様々な行政場面で活用されているのと同様に、土地についても「地籍」の情報が行政の様々な場面で活用されています。
 我が国では、土地に関する記録は登記所において管理されていますが、土地の位置や形状等を示す情報として登記所に備え付けられている地図や図面は、 その半分ほどが明治時代の地租改正時に作られた地図(公図)などをもとにしたものです。 そのため登記所に備え付けられている地図や図面は、境界や形状などが現実とは異なっている場合が多くあり、 また、登記簿に記載された土地の面積も、正確ではない場合があるのが実態です。
 地籍調査が行われることにより、その成果は登記所にも送られ、登記簿の記載が修正され、地図が更新されることになります。 また、固定資産税算出の際の基礎情報となるなど、市町村における様々な行政事務の基礎資料として活用されます。
 なお、地籍調査は、国土調査法に基づく「国土調査」の1つとして実施されています。
 【地籍調査Webサイト】より


基準点測量

基準点とは

基準点とは、地球上の位置や海面からの高さが正確に測定された三角点、水準点、電子基準点等をいいます。 地図の作成や各種測量の際の基準・基礎となる点として使われます。 基準点にはその場所を明確にするために、標石、金属標、鋲などの標識が設置されています。 基準点には、国土地理院が基本測量として設置・測量する、国の骨格的な測量の基礎となる国家基準点(1等〜3等三角点等)や、公共事業等を行う際に市町村等が設置する公共基準点など、様々な種類があります。
 【地籍調査Webサイト】より

地籍調査のための基準点測量

地籍調査において行われる測量でも、位置の基準とするために、基準点の設置・測量が必要となります。
 国土調査法に基づき国が基本調査として実施している基準点測量では、四等三角点を設置しています。 四等三角点は、市町村等の要望に基づき、地籍調査実施予定地区に原則地籍調査の前年度に設置されます。 これらの作業は国土地理院(又は国土地理院より委託を受けた測量業者)が実施しています。
 四等三角点は、都市部では約1平方キロメートルに1点、山村部では約4平方キロメートルに1点が設置されています。 これまでに累計で65,000点以上の四等三角点が設置されています。
 【地籍調査Webサイト】より

四等三角点「北原」 「四等三角点 北原」
 高山村北原、標高501.84m
 「四等三角点 上野」から直線で約2km
 2013年9月16日撮影

一般的な基準点測量の作業工程

1.計画の作成
 地籍調査を実施している市町村等から出される基準点の設置要望をもとに、設置に適した場所を地形図上に図示して計画図を作成します。 さらに、測量作業の実施機関、作業者の編成、工程、使用機器等を決定して計画書を作成します。
2.基準点設置場所の選定(選点)
 計画図にもとづいて、現地で新設点の位置を選定します。 また、現地の状況に適した測量の手段も同時に決定します。
3.基準点の設置
 選点で決定した場所に、土地の所有者・管理者の承諾を得て、標識を設置します。 標識には様々な種類がありますが、四等三角点の場合は、御影石(花崗岩)の柱石が主に使われています。 近年は金属標による四等三角点も設置されています。
4.基準点の位置の観測
 設置した標識等の位置(十字の中心)を正確に求めるため、GPS測量機やトータルステーション等を使用して測量(観測)が行われます。
5.計算整理
 観測データの良否を判定するための計算や位置を決定するための計算を行います。 得られた測量成果は、成果表、点の記等に整理され、後続の地籍調査に活用されるとともに、他の利用者にも提供されます。 成果表は基準点の位置情報が記載されたもので、点の記は三角点までの経路、所在地等が記載されています。
 【地籍調査Webサイト】より


消えた三角点

三角点上野の跡地  2013年の春、周囲の雪が消えるといつの間にか保護石もなくなり、「四等三角点 上野」は跡形もなく消えていました。
 高山村では宅地と農地を対象にした地籍調査が平成9年(1997年)に終了したので、役割を終えて撤去されたのでしょう。
 2013年3月25日撮影


 同じころ、国土地理院のサイトで「四等三角点 上野」が「廃点」と告示され、最新の地図には三角点の記号もなくなっています。


基準点

三角点
 「四等三角点 上野」のあった場所は「信州高山桜めぐり」のトレッキングコースになっていて、「赤和観音のしだれ桜」から「水中のしだれ桜」に向かってたくさんの人が歩き、晴れた日には「三角点」の設置されている山がよく見えます。

設置場所 等級 基準点名 標高
白馬岳 一等 白馬岳 2932.24m
乗鞍岳 二等 乗鞍岳 2436.41m
須坂市小河原 一等 基線西端 353.25m
高山村高井 一等 基線東端 447.66m
飯縄山 二等 飯縄山 1917.37m
高妻山 二等 高妻山 2352.8m
髻山 一等 髻山 744.46m
地蔵山 三等 地蔵 2073.34m
黒姫山 二等 黒姫山 2053m
焼山 二等 焼山 2400.26m
妙高山 一等 妙高山 2445.9m
雁田山 一等 雁田山 759.39m

国土地理院 基準点成果等閲覧サービスから引用

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参考にさせていただいた資料

最終更新日 2020年 3月21日

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