久保の家
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「聞いとくんなして」

「聞いとくんなして」:”どうぞお聞きになってください”【北信州の方言】

暮らしのことば

日常のあいさつ

庭先や畑で交わされるあいさつをまとめました。

「あがっとくらい」
”どうぞ家の中にお入り(お上がり)ください。”
「あんべなっちょだい」
”(お体の)具合はいかがですか。”
「いいかっちゃ」
 ”いいかしら”、”よろしいですか”
同意を得るときに使うことば。
「おあがりー」
畑から帰るとき、隣の畑でまだ仕事をしている人がいると、「おあがりー」と声を掛けて先に帰る。
”お先に”という感じ。
田畑の仕事を切り上げるときに使う「あがる」ということばが元らしい。
「おおごくろ」(【ろ】を上げる)
”大変お疲れさまでした”とねぎらうことば。「大ご苦労」。
「ご苦労様」とは異なり、他人の苦労を敬う感じはない。
「おかせぎー」
仕事をしている人のそばを通るときに掛けることば。「お稼ぎー」。
「精が出ますね」という感じ。
「おごしつぉおー」
物をもらったときのお礼のことば。”ありがとうございました”。
「おごっそぉ」、「おごっつぉ」ともいう。
「おくらい」
”ください”。
「判子おくらい(判子を押してください)」
「おごっそぉ」(【ぉ】を上げる)
”ごちそうさまでした”という意味。「おごっつぉ」ともいう。
「おごっそ」、「おごっつぉ」(【ぉ】は上げない)は”ご馳走”のこと。
「おごっそ」になったら「おごっそぉ」とお礼の挨拶をして帰る。
「おしずかに」
”どうぞゆっくりお食事を続けてください”と食事中の人にかけることば。「お静かに」
よその家へ用事に行って、相手が食事しているときなどに使う。
”黙って食べろ”、といっている訳ではありません。
「おすい」「おすいなして」
”お寄りください”、”寄って一服して行ってくださいな”。
「煙草を一服お吸いください」からの変化か?
おつかれー
夕方から夜にかけて、余所を訪問するときの挨拶。「お疲れー」
共通語の”今晩は”と同じ意味で使われるが、”お疲れさまでした”という意味はほとんどない。
「おにわごめんなして」
”失礼してお庭を通らせていただきます”。「お庭ご免なして」
余所のお宅の庭を通り抜けて自分の畑などに行くときに、そこがお留守とわかっていても声を掛けて通るのが礼儀です。
「おはようござんした」
”おはようございます”。「おはようございました」ともいう。
共通語では「おはようございます」というところを、「おはようございました」と過去形に聞こえる挨拶をすることがある。
これを FM長野の大岩さんは、著書「スタヂオの窓から信州が見える」(信濃毎日新聞社刊)の中で、「パーツは標準語」とうまく解説している。
「およんなして」
”どうぞ家の田舎へお寄りください”。
「かんしな」
”ごめんなさいね”
悪さをして怒られると「かんし、かんべんな」(ごめんなさい、お許しください)などと謝った。
「ごめんなして」
”ご免ください”。
「こらっしゃい」
”おいでなさい”、”お越しください”。
「こっちこらっしゃい」(こちらへおいでなさい)
「そうかいやぁ」
”そうですかねぇ”。「ほーかいやぁ」ともいう。
「そうかっちゃ」
”そうですかねぇ”
「そうだらず」
”そうでしょうねえ”、”そうに決まってますよ”
「そうだんかい」
”そうでしょう”、”そうに違いありません”
「だめどー」
”駄目ですよ”
「そんなことせったっておらほはだめどー(そんなこと言っても、私たちの地区は駄目ですよ)」などと使います。
「なっちょ」(【ょ】を上げる)
”いかがですか”
なっちょだい」「なっちょだいやぁ」「なっちょでござんす」などと使われるが、いずれも同じ意味。
「なんぶんおたのもしやす」
”何卒よろしくお願いいたします”。「何分お頼み申し上げます」が訛った。
「ほーかい」
”そうですか”
「もうしわけござんしね」
”申し訳ございませんねえ”。”すみませんねえ”、”ありがとうございます”という感じ。
「もうしわけごわしね」、「もうしゃけござんしね」ともいう。
「よってかねかい」
”お寄り(お入り)になりませんか”。「寄って行かないかい」が縮んだ。
「よってからねかい」ともいう。
「よっとくらい」
”どうぞお寄り(お入り)ください”。「寄っておくらい」(寄ってください)が縮んだ。
「よっとくんなさい」ともいう。
「わりやあ」
”悪いですねえ”、”申し訳ありませんねえ”、”ご免なさいねえ”といった意味。
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「同意・不同意」

「同意」するときの表現

「同意しない」ときの表現

※どれも似たような意味だが、共通語に翻訳しにくい微妙な違いがあるようで、時と場合によって使い分けされている。

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「日にちや時刻」

理解していないと、約束した日にちや時間がずれてしまいます。

さきおっとしな 一昨昨年、さきおととし
おっとしな 一昨年、おととし
きょんな 昨年、去年
せんどな 先日、この間、先達て(せんだって)
さきおってな 一昨昨日、さきおととい
おってな 一昨日、おととい、おとつい
きんな 昨日、きのう
よんべな 昨夜、ゆうべ
あさっぱら(朝っ腹) 早朝(午前5時〜6時頃)
めしめ(飯前) 朝食前(午前5時〜6時頃)
ひののき 日中
ひんねおき(昼寝起き) 昼寝から覚めた頃(午後2時〜3時頃)
ばんがた(晩方) ゆうがた、くれがた
さっきな 先程、先刻
いましがた(今し方) 今少し前、たった今
ひとっきり 一頻り(ひとしきり)、”少しの間”
そのいと そのうち
いまじぶん(今時分) 今頃
あしたやつ 明日あたり
やねあさって 明々後日、弥の明後日(やのあさて)
しあさって 「やねあさって」の翌日。
※東京地方とは「しあさって」と「やねあさって」の順序が逆。

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