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暮らしのことば
風呂に入る
今でも薪で風呂を焚いています。
おことわり:ことばの解釈や用法、語源などは、あくまでもこのページの管理者が勝手に判断したもので、学術的な根拠に基づくものではありません。
- 「いいあんべ」
- ”いい気持ち”。”いい案配”。
- 「あんべ」は”具合”や”調子”のこと。
- 「風呂に入ると冷えたからだが芯からあったまって、あーいいあんべだ(あーいい気持ちだ)」
- 「うめる」
- 漢字では”埋める”。熱い風呂に水を入れてぬるくすること。
うめる: 水を加えてうすめる。また、湯をぬるくする。広辞苑
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- 「くべる」
- 竃(かまど)の火に薪を追加すること。
- 漢字では「焼べる」。古語では「燃(く)ぶ」。
- 竃でできた”熾き(おき)”を掘り炬燵に入れることも「熾きをくべる」という。
- 薪のくべ方が下手だと家の中が煙りだらけになったり、火が消えてしまうが、最悪の場合は、竃から火がこぼれて火事になる。
- 「けしずみ」
- ”熾き”を消して作る炭のこと。火力は弱いが、すぐ作れて便利。
- 「けぶ」
- ”煙(けむり)”のこと。漢字は「煙」
けぶ:(ケブリの略) けむり。けむ。広辞苑
- 「けぶい」
- ”けむい”。
けぶい: けむたい。けむい。広辞苑
- 「けぶだし」
- ”煙出し”。昔の家は屋根の一部に開放部があり、竈の煙を外に出した。
今なら煙突。
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- 「じょおの」
風呂を焚いてできた”熾き(おき)”を炬燵まで運ぶ道具。”十能(じゅうのう)”が訛った。
炬燵の中で灰を掛けるときに使う小型の十能は「こじょおの(小十能)」という。
- 「じょろいた」
- 五右衛門風呂の底板のこと。語源は不明。
五右衛門風呂:槽(おけ)の底に平釜を取りつけ、かまどに据えつけて、下で薪をたいて沸かす据風呂スエフロ。底板は水面に浮び、入浴のときはこれを踏んで下に沈め、その上にのってはいる。全部鉄釜としたものもある。かま風呂。広辞苑
- 「東海道中膝栗毛」には、弥次さんか喜多さんが底板を取り除いてしまい、熱くて仕方がないので下駄を履いて入った、という有名なくだりがある。
ほうろうの浴槽でも「じょろいた」を檜(ひのき)で作ると、檜の香りが浴室に漂い、ちょっとだけ檜風呂気分が味わえる。
- 「すぎっぱ」
- 杉の枯葉のこと。「杉葉」
- 「すぎっぱ」は火がつきやすく火力も強いので、焚き付けに最適な材料。雪が降る前に、すぎっぱを拾い集めて冬越しの準備をする。
- 「せえふろ」
- ”ふろ”のこと。「据え風呂(すえふろ)」が訛った。
据え風呂:桶の下部に竃(かまど)を据え付けた風呂。広辞苑
- 昔は、家の入口の戸を開けると土間で、すぐ脇に五右衛門風呂があった。土間との仕切も脱衣場もなく、衣服を脱いで、風呂桶に入ったり出たりする姿が丸見えだった。風呂の奥隣で牛を飼っていたので、牛がときどき顔を出して出入りの邪魔をした。
鉄の釜と木の桶の五右衛門風呂から、銅(あかがね)の釜とタイル張りの浴槽(「となりのトトロ」では二槽式で上がり湯のあるものが描かれていた)、琺瑯(ほうろう)の一体型と変わり、浴室と脱衣場もできたが、薪で焚くことは今も変わっていない。
火が消えても”熾き(おき)”が残っているので、いつまでも冷めない。
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- 「たきつけ」
- 薪を燃やすときの補助燃料。”焚き付け”
- マッチだけでは薪に火がつかないので、まず「焚き付け」を燃やす。新聞紙や”すぎっぱ”と”ぼや”を利用する。
- 「焚き付け」を持たないでキャンプに行き、ライターで薪に火を付けようと必死にがんばっている若いお父さんがいた。
学校に石炭ストーブがあった時代は、当番の子が「焚き付け」を持って行って火をつけたので、誰でも「ひーたき」はできた。
当時、町の高校は薪ストーブだったが、新聞紙1枚で薪を燃やせる技があり、「すぎっぱ」と「ぼや」を使うことしか知らない山の子どもはたまげた。
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- 「なつだき」
- 夏に燃やす薪などの焚き物のこと。
火力が弱く、”熾き”があまりできない杉などをおもに使う。
- 冬は竃に”熾き”があると、いつまでも風呂が冷めない。
また炬燵に”熾き”を入れるので、火力が強く、たくさん”熾き”のできるりんごや楢などの薪を使う。
- 「のふとまる」
- ”温まる(あたたまる)”こと。
- 「のりい」
- ”温い(ぬるい)”こと。
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- 「ひーたき」
- 風呂や竃(かまど)の火を焚くこと。”火焚き”
- 子どものお手伝い仕事の一つ。
- 「べちゃ」
- 風呂の幼児語。
- 「婆ちゃんといっしょにべちゃへーれや」(婆ちゃんと一緒にお風呂入ろうね)。
- 「ほど」
- 風呂桶の”栓(せん)”。「ほぞ」が訛った。栓をすることを「ほどをかう」という。
ほぞ:(古くは清音。ホゾと同源) 木材・石材・鉄材など二つの部材を接合するとき、一方の材端につくる突起。他方の材にこの突起を差し込むほぞ穴をうがって、両者を合せる。広辞苑
- 「ほとびる」
- 漢字では「潤びる」。
- 水に浸けて膨潤させることを「ほとばす(潤ばす)」という。
ほとびる:1)水分を含んでふくれる。ふやける。2)永く湯などにひたる。広辞苑
- 長湯をすると指先がほとびてしわしわになるのに、水にほとばした豆が膨らむのはなんでだろー?
- 「ぼや」(【や】を上げる)
- 手で簡単に折れるような細い枯れ枝のこと。
- 火力は弱いが「すぎっぱ」の火が燃え移りやすく、薪に火を移す貴重な”中継ぎ”材料。
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- 「まきだっぽ」
- ”薪”のこと。
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- 「よ〜」
- ”湯”が訛った。転じて”風呂”のこと。
- 「よ〜へえり行って来る(お風呂入りに行って来る)」などとという。
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