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北信州のはなしことば 「さ行」
おことわり:ことばの解釈や用法、語源などは、あくまでもこのページの管理者が勝手に判断したもので、学術的な根拠に基づくものではありません。説明が不適当だったり、間違っているものがありましたら、ご容赦ください。
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- 「ざい」
- ”いなか”のこと。反対は「おまち」
ざい【在】:都会から離れた地方。いなか。広辞苑
- 「さかる」
- ”繁盛する”という意味。「盛る」
「あの店はさかってるなあ」(繁盛しているなあ)
- 「・・・先たって」
- ”・・・の直前に”という意味。
- 「行く先たって着るもんねえせったって間に合う訳ねえ」(出かける直前に洋服がないといっても、間に合う訳がない)
- 「ささらほうさら」
- ”いいかげん”、”適当”
夜来風雨声「一夜さにさくらはささらほさら哉」一茶
一茶の句を見ると、”ちらほら”、”ぽつりぽつり”という意味かもしれない。
- 「さっそく」
- 仕事は早いが、仕上がりは今一つ、というようなときに使う。
「まてい」の反対。
- 意味は”拙速”に近いため、”早速”と混同されたものか?
- 「さびぃ」
- ”寒い”の訛った「さぶい」が、寒くて口が開かなくなり、短かくなった。
(震えながら)「あ〜〜〜さびぃっ!」(あ〜〜〜寒い!)
- 「さぶい」
- ”寒い”が訛った。「さびい」ともいう。
- 「されっかまんどく」
- ”放置する”、”放っておく”といった意味。
- 「さわぎ」
- 「騒ぎ」。”大変”という意味で使う。「さわぎだなあ」(大変だなあ)
- ”とても大変だ”というときは「えらっ騒ぎ」という。
さわぎ:さわぐこと。さわがしいこと。また、人々を騒がせるような事件。混雑。取りこみ。「騒ぎが起きる」「けんか騒ぎ」。広辞苑
- 「さんざ」
- ”もう十分”とか”もう沢山”という意味。
- 「さんざおごっつぉになった」(もう十分ご馳走になりました)
- 「おやじの小言はもうさんざだ」(おやじの小言はもう沢山だよ)。
さんざ:「さんざん(散々)」の略。甚だしく。したい放題に。広辞苑
- 「さんだす」
- 差し出して手助けすること。「差し出す」が訛った。
- 稲刈りしてはぜ掛けをするとき、稲の束を取り上げて2つに分け、はぜ掛けする人に「さんだす」と仕事がはかどる。
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- 「じいやん」
- ”お爺さん”のこと。親しいと「じやん」になる。→「ばあやん」
- 「しかけ」
- ”大変”という感じ。
- たんぼの中でバレーボールをしているのをテレビで見て、爺ちゃんが「しかけだなあ」と感心していた。
- 「しぞくねる」
- ”為損なう(しそこなう)”が訛った。「しぞこねる」ともいう。
しそこなう:しそんずる。やりそこなう。しくじる。広辞苑
- 「したっか」
- ”下側”のこと。”したっかわ”から変化した?
- 「したる」
- 暖かくなって積もった雪の量が目に見えて減ることを「したる」あるいは「しとる」という。
- 「今日はのふてかったんで、がげ下の雪がずっとしたった」(今日は暖かかったので軒先の雪の量が大変多く減った)
- 「じっく」
- ずぶ濡れになった様子。もっとひどいと「じっくっく」。
- 「ぐっしょり」、「びっしょり」と同じ。
- 「しっこ〜ぉ」(【ぉ】を上げる)
- ”するわけないでしょう”という意味。
- 「普段勉強なんかしっこ〜ぉ」(普段勉強なんかするはずないでしょう)
- 「しとらよもて」
- ”ずしりと重たい”という意味。
- 赤ちゃんを抱き、見た目よりもずっと重く感じたときなどの表現。
- 一般的なことばかどうかは不明。
- 「・・・しなし」
- ”・・・しなかったですよ”という意味。
- 「おらそんなの見ぃしなし」(私はそんなの見なかったですよ)
- 「餅なんか食べしなし」(餅なんか食べていませんよ)
- 「しにっぱれかく」
- ”死ぬ思いをする”。”死ぬほどひどい目に遭う”。
- 「・・・しね」
- ”・・・しませんよ”という意味。
- 「おら菓子なんか食べしね(私はお菓子なんか食べませんよ)」
「酒なんか飲ましね(酒なんか飲みませんよ)」
- 「じばん」
- ”襦袢(じゅばん)”が訛った。
- 「・・・しま」
- ”・・・しながら”。
- 「歩きしま食べるなんて、今わけえもんは行儀が悪い」(歩きながら食べるなんて、今の若い人は行儀が悪い」
- 「二宮金次郎は、本読みしま焚き物しょって歩いた。」(本を読みながら焚き物を背負って歩いた)
- 「じみ」
- ”蝉(せみ)”のこと。
- 「しみる」(【み】を上げる)
- ”凍る”こと。「凍みる」。
- 「水道管が凍みて破裂した。」
しみる:こおりつく。寒さでちぢみあがる。また、身がひきしまる。広辞苑
- 「しめし」
- ”おむつ”のこと。「おしめ」。
しめし【湿し】:
小児の大小便をしませて取る布。おしめ。むつき。広辞苑
- 「しゃがしゃがする」
- ”おどおどする”
- 「しゃっぽ」
- ”帽子”のこと。
シャッポ【chapeauフランス】:
つばのついた、多くはラシャの帽子。また、単に帽子。シャポー。広辞苑
- 「しゃばじょー」
- ”あたり一面”、”そこら中”
「しゃばじょー(そこら中)草だらけでこまったもんだ」
- 「娑婆中(しゃばじゅう)」が訛ったらしいが、「娑婆中」ということばが広辞苑に見あたらない。
- 「しゃる」(【しゃ】が高く【る】を下げる
- ”さがる”、”戻る”
「坂道で車停めたら後へしゃった」(車が後へ下がった)
- 「・・・・しゃる」
- ”・・・・しなさる”という敬語表現。「・・・・なる」、「・・・・らる」と同じ。
- 「こらしゃる(お出でなさる)」「たべらしゃる(お食べなさる)」「けえらしゃる(お帰りなさる)」「いかしゃる(お行きなさる)」
- 「・・・・しゃる」「・・・・なる」「・・・・らる」という敬語表現を身内に対しても使うのが、北信州のことばの特徴の一つ。
- 「しょう」
- 荷物を背負うこと。漢字では「背負う」。
赤ん坊を背負うのは「負う(おぶう)」という。
しょう:(セオウの転) せおう。広辞苑
- 「しょうしい」
- 漢字では「笑止い(しょうしい)」。「笑止」(恥ずかしく思うこと)から変化した。
しょうしい:(東北・信越地方で) 恥かしい。おしょしい。広辞苑
- 「しょぉ」(【しょ】が高く【ぉ】を下げる)
- ”人たち”。”衆”が訛った。
- 「あっちのしょぉは集まったかい」(あちらの人たちは集まりましたかねぇ」
- 「〜じょお」
- ”〜中(じゅう)”が訛った。
「たまに力仕事したもんで体じょおいて」(たまに力仕事をしたので体中が痛い)
- 「しょおてえなし」
- 疲労や泥酔で前後不覚になり、何も覚えていない状態。”正体無し”が訛った。
- 「しょおねえもんだ」
- ”まったくどうしようもないものだ”とか”仕方がないなあ”と、怒ったり嘆いたりするときに使う。
- 「昼間からテレビばっか見てしょおねえもんだ。ちったあ手伝え!」
(昼間からテレビばかり見ていて、どうしようもないな。少しは手伝いなさい!)
- 「じょおや」
- ”いつも”、”しょっちゅう”。
- 「じょおやお世話さんでござんす」(いつもお世話になります)
- 「しょっぺなす」
- いたずらして暴れること。暴れる人は「しょっぺなし」。
- 「じょんさ」
- ”巡査”が訛った。
- 「じょんじょんに」
- ”順々に”
- 「じゅ」は発音しにくいらしく「じょ」や「じ」になることが多い。
「じんいち」さんと呼んでいた方が亡くなって葬式に参列して、故人が「じんいち」さんではなく「じゅんいち」さんだったことを初めて知った。
- 「しんがらかく」
- 片足でけんけんすること。「ひんがらかく」ともいう。
- 「しわつく」
- ”雨がしとしと降る”こと。
「朝からしわつくんで、さびこと」(朝から雨がしとしと降るので寒いこと)
- 「しんと」
- ”芯”、”中心”のこと。
- 「〜しんね」
- ”〜しれない”、”〜でしょうねえ”という意味。
「水中の桜はもう咲いてるかしんねなあ」(もう咲いているかもしれませんねえ)
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- 「すいこ」
- ”スイバ(酸葉、すかんぽ)”のこと。
- 先を折って皮をむいて食べる、子供の素朴なおやつだった。
- 「ずうてえ」
- ”図体(ずうたい)”が訛った。
- 「すげえだんかい」
- ”すごいものですねえ”と感心する。
- 「水中の桜も有名んなって映画にでたせうだんかい。すげえだんかい」
(水中の桜も有名になって映画に出たというそうですね。すごいものですねえ)
- 「すける」
- ”助ける”、”手助けする”こと。
- 「はかいってねみたいだからすけてやらず」(はかどっていないようだから手助けしてやりましょう)
- 「スチロパール」
- ”発泡スチロール”のこと。
長野市の「長野スチロパール」という会社が発泡スチロール製品をつくっていることから一般名称化したらしい。
- 「すつもつ」
- ”もじもじ”する様子。
- 「ずで」(【ず】が高く【で】を下げる)
- 否定的に”まるで”。
- 「今日のゲートボールは、ずで調子悪くて、ちっともゲート通らねかった」などという。
- さらに程度が増すと「ずでこで」という。
- 「ずでこで」
- ”まるっきり駄目”という意味。
- 「今年は雨降らねかったんで山の茸はずでこでだな」
(今年は雨が降らなかったので山の茸はまるっきり不作だなあ)
- 「すてばて」
- ”おてんば”、”あばずれ”といった感じ。
- 「すてばて娘」(お転婆娘)
- 「すべっけ」
- ”滑っこい(すべっこい)”が訛った。
- ”なめらか”、”すべすべしている”
「この餅はよく搗けててすべっけなぁ(なめらかだなあ)」
- 「すっぺこっぺ」
- お金をかけた割に利益が上がらなかったこと。収支とんとん、といった感じ。
- 「今度の仕事はすっぺこっぺで、ちっとももうからねかった。」(今度の仕事はとんとんで少しも儲からなかった)
- 「すべらっけ」
- 「すべっけ」と同じ。
- 「すま」(【す】が高く【ま】を下げる)
- ”隅(すみ)”が訛った。「すまっこ」ともいう。
- 「知らねもんばっかでしょうしかったからすまで小さくなってた」
(知らない人ばかりで恥ずかしかったから、隅で小さくなっていた)
- 「ずるかる」
- ”ぶらさがる”。「ぶるかる」も同じ。
ぶらさげるときは「ずるける」という。
- 「するし」
- ”印(しるし)”が訛った。
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- 「せえきれる」
- ”息が切れる”。
「雷鳴ったんで畑から飛んできたんでせえきれた」
(雷が鳴ったので畑から走ってきたので息が切れた)
- 「せえふ」
- ”財布(さいふ)が訛った。
- 「せっこいい」
- 段取りや手際よく仕事をすること。
- 「せっちく」
- 背が低いこと。「背がちくさい」(背丈が小さい)から変化した。
- 「せつない」
- ”悲しい”、”苦しい”、”つらい”が入り交じった感情。
せつない:圧迫されて苦しい。胸がしめつけられる思いでつらい。広辞苑
- 「せっぺせっぺ」
- ”やっとのことで”、”精を出して”といった意味。
- 「せせる」
- からかうこと。
「隣の家のぼこがあんまり可愛いんでせせったら(からかったら)泣き出した」。
せせる:もてあそぶ。からかう。広辞苑
- 「せばい」
- ”狭い(せまい)”こと。大昔のことばがあまり変わらないで残っているものの一つ。
せばし:(江戸時代以後「せまし」となる) 広くない。幅がゆるやかでない。万葉集6「大埼の神の小浜はせばけども」広辞苑
- 「せわしゃった」
- ”おっしゃった”という意味。
- 「せう(言う)」の尊敬表現「せわしゃる」の過去形。
- 「せわった」
- ”言いなさった”という意味。
- 「せう(言う)」の尊敬表現「せわる」の過去形。
さらに程度が上がると「せわしゃった(おっしゃった)」となる。
- 「ぜんて」
- ”一体全体”、”だいたい”、”そもそも”というような意味が混じった感じ。
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- 「そ〜さ〜ぁ」
- ”そおなんですかあ”と相づちをうつ。
- 「ぞうさもねぇ」
- ”簡単にできる”という意味。「造作ない」が変化した。
ぞうさない:面倒でない。わけはない。たやすい。広辞苑
- 「そうどこじゃねぇ」
- ”それはいいことだ”と賛成する。
- 「○○ぞお」
- ”何々”の”々”に相当する複数を示す言葉。
「誰ぞおと行く(誰と誰と行く)」、「どこぞお行く(何処と何処へ行く)」、「何ぞお食う(何と何を食べる)」
- 「そこね」(【そ】を高く【こね】を下げる)
- ”そこら”、”そこそこ”。
「昔の子どもは、十やそこねで紡績に行かされたもんだ」
(昔の子どもは、十歳そこそこで紡績工場へ働きに行かされたものだ)
- 「ぞぜっちゃべり」
- 子どものような甘えた話し方。
- 「ぞぜる」
- ”甘える”、”だだをこねる”
- 「そつがでる」
- ”無駄が出る”という意味。
「今年は台風のせいでリンゴはえっぺそつが出た(たくさん無駄が出た)」
そつ:
1)むだ。無益。
2)てぬかり。ておち。「朝顔や人の顔にはそつがある」(一茶)、そつが無い。広辞苑
- 「そっくりけえる」
- ”反り返る”こと。
- 「そべる」
- ”寝そべる”、”横になる”
- 「くたびれたからちょっとそべらず」(疲れたのでちょっと横になって休みましょう)
- 「・・・そもう」
- ”・・・と思う”。「・・・と、そう思う」が訛った感じ。
- 「あそこの家にはきっとお宝があるそもう(あると思う)」
- 「おらそんなことねえそもう」(私はそんなことないと思う)
- 「そんなどこじゃねぇ」
- ”それどころではないですよ”。「それどこじゃねえ」ともいう。
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