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暮らしのことば
食にまつわることば
おことわり:ことばの解釈や用法、語源などは、あくまでもこのページの管理者が勝手に判断したもので、学術的な根拠に基づくものではありません。
- 「あじいい」
- ”おいしい”。「味良い」
- 「このうどん、味いいなあ」などと使う。
- 直接的で、文化がまだ熟していない感じがする表現の一つ。
- 「あらいのけ」
- 食器などの”洗い物”あるいは”食器洗い”をいう。
- 語源は不明。
- 「いしっかてぇ」
- ”石のように堅い”。「石堅い」が訛った。
- 古くなった餅の端が堅くて歯が立たないときなどに使う。
- 「いなごのつくだに」
- いなご(蝗)の佃煮
- 「いなご」は「蜂の子」「ざざむし」と並ぶ信州の3大珍味のひとつ。(ただし、北信州高山村には「ざざむし」が取れるような川がないため、どんなものかわからない)
- 手ぬぐいを二つ折りにして両端を縫い、竹筒に縛り付けて捕獲袋にする。
朝早く田に入り、いなごの動きが鈍いところを素早くつかまえて竹筒に入れると、袋の中に入って出てこれなくなる。袋がいっぱいになったら竹筒をはずして、袋の口を縛る。
袋ごと熱湯をかけ、取り出して佃煮にする。
日が昇って気温が上昇するといなごの動きが活発になって、つかまえにくくなる。
余所の田に黙って入ると怒られるので、稲を倒さないようにしてつかまえるのが最低の常識です。
- 「いなじょっぺ」
- 非常に”塩辛い”こと。
「この鮭はいなじょっぺな」(この鮭はやたらに塩辛いね)
- 「うでる」
- ”茹でる”。
- 「餅米蒸かしたお湯沸いてるんでほうれん草うでとけや」
(餅米を蒸かしたお湯が沸いているので、ほうれん草をゆでておいてください)
うでる【茹でる】:「ゆでる」に同じ。広辞苑
- 「うんまい」
- ”おいしい”。”うまい”がちょっと訛った。「うんめぇ」「うめぇ」ともいう。
- 「ええのける」
- ”気が抜ける”、”辛味が薄れる”、”刺激が少ない”といった意味。
- 「ええのけた(気の抜けた)ビール」などという。
- 「えのぬける」「えののける」「えんのける」など、変形が多い。
- 「おおまくらい」
- ”大食漢”
- 「大飯(おおまんま)くらい」から変化したらしい。
- 「おかざり」
- 鏡餅のこと。”お飾り”
おかざり:
1)神仏の前の飾り付け、また、そなえ物。特に鏡餅。
2)正月のしめかざり。広辞苑
- 「おごっそ」
- ”ご馳走”。 ”おご馳走”から変化した?
- 「おごっつぉ」ともいう。
- 「おごっそ」をいただいたら「おごっそぉ」といって帰る。
- 「おざんざ」
- ”うどん”のこと。
釜揚げや煮込みなど。
- 「おつけ」
- ”味噌汁”のこと。漢字では「御付」。ていねいになると「おみおつけ」。
- 「味いい」の直接的な表現に対して、奥ゆかしい感じがする。
おつけ:(女房詞。本膳に付け添える意)
1)吸物の汁。
2)みそ汁。おみおつけ。
3)麺類のつけ汁。広辞苑
- 「おつけのみ」
- 味噌汁の具のこと。「御付の実」。
- 「おつよ」
- 味噌汁のこと。「お汁(つゆ)」が訛った。
- 「おてしょ」
- 漢字では「御手塩」。”小皿”のこと。
- 「お菜をおてしょに取ってやってくんない」(野沢菜を小皿にとってお召し上がりください)
おてしょ:(女房詞) 手塩皿テシオザラ広辞苑
- 「おはづけ」
- ”野沢菜漬け”のこと。
信州では「お菜」といえば「野沢菜」を指す。
- 「おりこぼし」
- ”お茶殻”を入れる容器のこと。
- 信州人はお茶ばかり飲むので、お茶殻を入れる容器を脇に置いておく。
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- 「かう」(【か】が高く【う】を下げる)
- ”おかずにする”こと。
- 「おなかってめしくった」(野沢菜漬けをおかずにしてご飯をたべた)
- 「かしゃもち」
- ”柏餅”のこと。
- 柏餅を包むのは「かしゃっぱ(柏葉)」という。
- 「かっこむ」
- ”急いで食べる”こと。
”(食べ物を)掻きこむ”からの変化か。
- 「いますぐかっこんじゃうからちょっとまっててくんない」
(今すぐに食べ終えますから、ちょっとお待ちください)
- 「かびらかす」
- 食べ物が”黴(かび)る”こと。
- 「餅をかびらかした」
- 「かぶっつら」
- 切り餅の中にもち米の粒が全部つぶれずに少し残っていて、滑らかでない状態をいう。
- もち米が蒸し足りないとなりやすい。
- 転じて、表面がでこぼこしていることも「かぶっつら」という。「このごろ松井選手の顔がかぶっつらでなくなってきた」
- 「かんます」
- 1)”かきまわす”こと。
「野菜が煮えたら鍋に味噌を入れてかんましてくんない(かき混ぜてください)」
- 2)”混乱させる”という意味もある。
- 「きじょよ」
- ”生醤油(きじょうゆ)”が訛った。
- 「きっぱし」
- ”切れ端”のこと。
- ”のし餅”を切って”切り餅”をつくるときに、切れ端が出る。これを「きっぱし」あるいは「きっぱし餅」という。
暮れについた餅は、年内は「きっぱし」だけ食べ、正月になってはじめて四角い餅を食べる。
- 「きびしょ」
- ”急須”のこと。
- 「きびす」ともいう。
- 「ぎょる」
- ”調理する”、”料理する”。
- 「新巻鮭をもらったんで、爺ちゃんにぎょってもらう(調理してもらう)」
- 「くしがき」
- ”干し柿”のことを「串柿」という。
くしがき【串柿】:
渋柿の皮をむき、串にさして干し、甘くしたもの。広辞苑
- 「くちい」
- ”満腹”の状態をいう。「はらくち」ともいう。
- 「くちひんまがっちまう」(【ひ】を上げる)
- 分不相応に高価なもの(高級なもの)を食べるときに発することば。「口がひん曲がってしまう」が訛った。
- 「一個で何千円もする本マグロの寿司なんか食べたら、口ひん曲がっちまう」」
- 「くわし」
- ”菓子”のこと。
- 旧仮名使いで「クワ」と書くことばと「カ」と書くことばを使い分ける発音がまだ残っている。
「花林糖(くわりんとう)」など。
- 「こおふける」
- 食べ物にカビが生えること。
- 「如来さんにあげておいたお飾りがこおふけた」(仏壇にお供えしておいた鏡餅にカビが生えた)
- 「こそっぽい」
- ”舌触りがざらざらする”、”滑らかでない”。反対は「すべっけ」。
- 「土筆(つくし)はこそっぽくてあまりうんまかね」(土筆はざらざらしてあまり美味しくない)
- 「こびれ」
- ”小昼(こひる)”が訛った。「おこびれ」ともいう。
- 農作業の休憩時にたべる間食。”おやつ”よりも腹ごしらえの度合いが強い。
- 「こわい」
- 1)”濃い”、”こくがある”
- 「この牛乳、とってもこわいね(濃いね)」などと使う。
- 2)”やわらかい”の反対。”強い(こわい)”。野菜などの繊維が硬い場合に使う。
- 「このお菜こわいな(硬いな)」
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- 「さまかす」
- ”冷ます”こと。
- 「しゃじ」
- ”匙(さじ)”が訛った。
- 「しょおじょっぺ」
- 塩加減のきついこと。
- 「じょおばこ」
- ”重箱(じゅうばこ)”が訛った。
- 「しょっぺもん」
- ”塩辛いもの”が訛った。
塩辛い食べ物のことを言う。
- 「すうけ」
- ”酸味”のこと。
酸い気(すいけ)が訛ったらしい。
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- 「た〜くさん」
- ”十分いただきました”、転じて”ごちそうさま”という意味。
- 「たくさんいただきました」が省略されたらしい。
- 「もうた〜くさん」(もう十分いただきました、ごちそうさま)
- 「たけのことり」
- 北信州で「竹の子」というと根曲がり竹(チシマザサ)の竹の子を指し、山に行って竹の子を採ることを竹の子取りという。
- 乱獲で発生が減少していることと、心ない入山者で山が荒らされることから、各地で竹の子取りが禁止されており、入山料を払っても竹の子取りができる高山村に集中している。
たくさん採ろうと無理をして奥に入り、道がわからなくなって遭難する人が後を絶たず、ときどき死者まで出る。
命をかけてまで採りに行きたくなるほどおいしく、特に、採ってすぐに缶詰の鯖の水煮と一緒に煮て食べる「竹の子汁」は絶品。
- 「たまり」
- ”醤油”のこと。
”溜り醤油(たまりじょうゆ)”のことを指すこともある。
たまり【溜り】:醤油の一種。原料の大豆の割合を多くし、食塩水を少なくして醸造したもの。醤油より濃厚。愛知・岐阜などの特産。
広辞苑
- 「たらかす」
- ”垂らす”こと。
- 「で〜」(【〜】を下げる)
- 食べ物などの”持ち”のことをいう。共通語の「出(で)」は短いが、「で〜」と延ばす。
- 硬い飴玉はいつまでも口の中で溶けず「で〜」がある。
- おいしいものは「で〜」がなく、すぐになくなる。
で:(多く動詞の連用形に付いて) 分量。かさ。また、その物事をするのに費やす時間・労力。「読み出がある本」「使い出がない金額」「出のある料理」広辞苑
- 「てっこもり」
- ご飯などの”大盛り”のこと。”天こ盛り(てんこもり)”が訛った。
- 「丼にまんまてっこもりにして食べた」(丼にご飯を山盛りにして食べた)
てんこもり:食器に食物(特に飯)をうずたかく盛ること。山盛り。広辞苑
- 「てっぱ」
- 酒屋の店先で枡酒(今ならコップ酒)を一杯飲むこと。語源は不明。
- 「掛け(付け)で飲むのでその時はいいが、あとでまとめて請求されるのが怖い」とは上戸の弁。
- 「とっちゃなげ」
- ”すいとん”のこと。
捏ねた小麦粉を取っては鍋に投げ入れることから名付けられた。
- 「どんけつなし」
- 果物の糖分や酸味が少なく、おいしさが薄いことを表すことば。
- 日当たりが悪かったり、本来、成らすべきではない枝にできた果実がなりやすい。
- 「とんます」
- ”裏返す”、”ひっくり返す”。
- 「早くとんまさねと餅焦げるど〜」(早く裏返さないと餅が焦げますよ)
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- 「にえずく」
- 煮えたぎった状態。「煮えずく」。訛ると「ねえずく」。
- 猫舌のひとは「にえずく」は食べられない。
- 「にじき」
- 1日に食事を2回しかしないこと。漢字では「二食」。
- 長野市の老舗の商店では、元旦は朝にお雑煮をいただき、お昼は食べず「二食」だったそうだ。
- 「ねぼして朝飯食べねでにじきでなんかいるもんだねぇ」(寝坊して朝ご飯を食べないで2食だけでいる、などということは良くない)
にじき:1日のうちに食事を2度だけすること。広辞苑
- 「ねぐさい」
- 漢字では「寝臭い」。腐敗しかけた食物から発する蒸れた臭いの表現。
ねぐさい:麹コウジが熟して一種の臭みが出ている。食物の腐ったようなにおいがする。広辞苑
- 「ねっとこ」
- どろどろの状態をいう。
- 「ひんのべ」は時間がたつと汁が吸われてねっとこになる。
- 「のっくむ」
- ”飲み込む”こと。
- すんなり飲め込めないものを、多少無理して飲み込む感じがする。
- 「のどこくる」
- 食べ物の水分が少なく、のどをスムーズに通過しないことをいう。「咽(のど)こくる」。
- 「何も飲まないで乾パン食べたら、咽こくった」
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- 「はいも」
- ”里芋(さといも)”のこと。語源は不明。
広辞苑には里芋の別名に「ハタケイモ」があるので、縮んだのかもしれない。
- 「はちのこ」
- 漢字では「蜂の子」。蜂の幼虫のこと。特にことわらない限り、”じばち(クロスズメバチ)”の幼虫のことをいう。
- 「蜂の子」の佃煮は、イナゴ、ザザムシと並ぶ信州の3大珍味の一つで、昭和天皇も好まれたそうである。
- 土の中に円盤状の巣を何段にも積み重ね、その中で卵から幼虫を育てるので、巣が大きくなった頃を見計らい、煙幕で働き蜂をぜんぶ気絶させてから巣を掘り出す。
巣は六角形の部屋に仕切られ、まだ幼虫がいる部屋は膜で覆われているので、膜を取り除いてから幼虫を取り出す。すでに成虫になった部屋は膜がなく、空になっている。
幼虫だけでなく、透き通った蛹(さなぎ)や、成虫の姿のものもかまわずに取り出すが、小さいので結構手間がかかる。
全部取り出したら、佃煮にする。
田の土手にある巣を掘ると土手が弱くなって崩れやすくなるので、自分の家の田以外は見つけても掘らないで田の所有者に連絡し、もし承諾が得られたら、堀ってから土手が崩れないように処置をする。
- 「はぬかりする」
- 歯にくっつく。
- 「できたばっかのやしょんまは、歯ぬかりする」(できたばかりのやしょうまは、歯にくっつく)
- 「はらくち」
- ”おなかがいっぱい””満腹”という意味。
単に「くちい」ともいう。
- 「さんざおごっそんなったんではらくちや」(たくさんご馳走になったので、おなかがいっぱいですよ)
- 「はんごろし」
- 漢字では「半殺し」。ぼた餅などを作るとき、もち米を完全につぶさず、粒が半分残る程度につぶすこと。全部つぶすことは「皆殺し」という。
- 一晩の宿を求めてきた旅人(僧だったかな?)に、ぼた餅でもご馳走してやろうと台所で「半殺しにしようか、それとも皆殺しにしようか」相談していたら、隣の部屋でそれを立ち聞きした旅人が「殺されてはかなわん」とあわてて逃げ出した、という有名な民話があった。
- 「ピスケット」
- ”ビスケット”のこと。
- 「ひね」
- 漢字では「陳」、「老成」。”古くなった”という意味。「ひね飯」
- 転じて”前の”とか”旧の”として使うこともある。「ひねの役員(旧役員)」。
ひね:
1)前年以前にとった穀物。旧穀。「ひね米」
2)古びたこと。また、そのもの。
3)おとなびていること。老成していること。広辞苑
- 「ほどっくべ」
- 囲炉裏の灰の中で蒸らして焼いた”おやき”のこと。
- 灰を軽く払ってから食べるが、あわてて食べると上あごをやけどする。
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- 「まるめる」
- 「おやき」をつくることを「おやきをまるめる」という。
- 冠婚葬祭には、親戚のおんなしょ(女性)が総出でおやきまるめを手伝った。
- 「まんま」
- ”ご飯”、”食事”のこと。
丁寧になると「おまんま」
-
まんま【飯】:(幼児語) めし。御飯。広辞苑
- 「むぎきり」
- 「冷麦」の材料を「むぎきりと呼んでいる。「麦切」
むぎきり:大麦の粉を切麦のように作って短く切ったもの。広辞苑
- 「めんるい」(【め】を低く【んるい】をやや上げる)
- 狭い意味で「冷や麦」のことを「めんるい」といっている。
少し広い意味では「うどん」や「そーめん」も含めるが、「蕎麦(そば)」は含んでいない感じがする。
更に広い意味で「ラーメン」や「スパゲッティ」は、「麺類(【め】が高く【んるい】を下げる)」であっても「めんるい」とはとても思っていないらしい。
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- 「やきげえし」
- 焼いた餅が冷めた後、もう一度やいたもの。「焼き返し」の訛り。
- 「やっこい」(【こ】を上げる)
- ”柔らかい”が訛った。さらに訛ると「やっけぇ」となる。
- 「よーめし」
- ”夕食”、”晩御飯”のこと。夕飯(ゆうめし)が訛った。
「遅くまでてんだってもらったんでよーめしいっしょにやっとくらい」
(遅くまでお手伝いしていただいたので、夕食を一緒に召し上がってください)
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