高井野の地理>高井野を取り巻く山

高井村の里山・奥山

高井村の山
 明治初期に作成された『長野懸町村誌』には、当時の県内各町村の沿革や地勢、納税額、人口などとともに、主な山や川について記載されています。
高井村の山
 (カシミール3Dで作成)
 明治7年(1874年)、明治政府は廃藩置県に伴って新たに発足した各府県に国史編輯局を設置し、全国の町村から地誌の提出を命令しました。 長野県でも各町村に町村誌編輯人を置き、戸長・副戸長の責任で資料を出させ、10年間で84冊の『長野縣町村誌』にまとめました。
 明治22年(1889年)に牧村(現・高山村牧)は高井村(現・高山村高井)に合併しているため、重複して記載されている山があります。
 同じ山であっても村によって呼び名が異なったり、境界も村によって主張が違い、牧村は群馬県の白根山までを自村の範囲で、奥山田村との境界は松川であると記載しています。
 また植生が現在とは大きく異なる山がいくつもあります。


高井村の山

高井村絵図
↑明治初期に制作された【高井村図】長野県立歴史館蔵
 掲載許可者:長野県立歴史館(平成24年3月7日)(クリックすると拡大表示します)

編輯

編輯人 勝山健雄
 戸 長 内山沖右エ門

湯澤瀧澤山の内【旧高位山】(御飯岳)

御飯岳←御飯岳
【高位山】
 一名高井乃山、又、阿蒸ヶ嶽とも云う。
 高さ678丈、周囲諸山と連互せるを以て、実測し難し。居村の東方に在り。
 嶺上より二分し、東南は上州吾妻郡干俣、大前の諸村に属し、西北同郡牧村番外地盤に属し、本村の進退山なり。高井村外1町16村、秣薪入会場なり。
 山脈、東北は黒湯山に連亙し、西南は破風ヶ嶽に連接し、西南は大位座山に駢列す。積雪夏至に及を以て、全山樹木生茂せず。
 渓水2條あり、共に字両澤より発し、下流して樋澤川に入。
 登路1條あり、村の東北、字上樋澤橋より南へ折れ、嶺上に至る。登高3里8町、頗る険なり。

【破風ヶ嶽】(破風岳)

破風岳 【破風ヶ嶽】
 高さ545丈、周囲未だ実測を経ず。居村の東方に在り。
 嶺上より三分し、東は上州吾妻郡に属し、西南は同郡園里村に属し、西北は本村に属す。
 山脈、東北は高井山に連綴し、南は園里村の乳山に走り、西は雨池山に連亙す。全山樹木多し。
↑土鍋山、破風岳

【大位座山】

老ノ倉山 【大位座山】
 高さ590丈、周囲未だ実測を経ず。村の東に在り。
 嶺上より二分し、北は同郡奥山田村に属し、南は本村に属す。
 山脈、東南は高位山に連り、西は湯倉ヶ峯に通じ、西北は八瀧、乙見の雨山に亙る。
 登路1條あり、乙見山を経て登る。2里30町、尤険なり。

【雨池山】

雨池山  高さ356丈、周囲未だ実測を経ず。村の東方に在り。
 嶺上より二分し、南は同郡園里村に属し、北は本村に属す。
 山脈、東は破風ヶ嶽に連り、西は阿久婆山に連亙し、南は同郡園里村の乳山に走る。樹木生ぜず、草茅を生ずるのみ。
 東嶺に小池あり、雨池と号、依って山名とす。
 登路1條あり、上樋澤橋より、南へ折れて登る、平易にして、登高凡2里28町。
↑御飯岳、破風岳、雨池山、悪婆山

【阿久婆山】

悪婆山 【阿久婆山】
 同郡園里村にては鳴尾山と称す。
 高さ315丈、周囲未だ実測を経ず。村の東方に在り。
 嶺上より二分し、南は同郡園里村に属し、北は本村に属す。
 山脈、東は雨池山に連接し、西は室岩山に亙る。樹木草茅斑生す。
 登路2條あり、一は村の東方、室岩山を経て登る、険にして近。登高1里15町。 一は上樋澤橋より、南へ折れ登る、平易にして遠し、登高2里16町。
↑悪婆山、奈良山

【乙見山】

 高さ350丈7尺、周囲未だ実測を経ず。村の東方に在り。
 嶺上より二分し、北は同郡牧村に属し、南は本村に属す。
 山脈、東南は大位座山に接続し、西は源根山に亙る。樹木生ぜず、草茅を生ず。
 登路1條あり、樋澤橋より東、字北牧を経て上る、険にして登高2里5町。

【高杜山(たかとうやま)】(紫祢萩山、紫子萩山)

高杜山 【高杜山】
 高さ175丈、周囲1里30町17間、村の東方に在り。
 山脈、南は室岩山に駢列す。樹木鬱蒼たり。
 登路2條、一は赤和より登る、険にして近し、28町。一は黒部を経て登る、易に遠し、登高1里6町。
↑紫祢萩山

【室岩山】(諸岩山)

諸岩山 【室岩山】
 同郡園里村にては寺久保山と云う。
 高さ240丈、周囲諸山と連亙せるを以て実測し難し。村の東方に在り。
 嶺上より二分し、南は同郡園里村に属し、北は本村に属す。
 山脈、東は阿久婆山に連り、西は月生山に連接し、北は高杜山に接し、西北は勝山に走る。全山樹木多し。
 登路2條あり。一は赤和より登る、険にして近し、登高30町。一は黒部より上る、易にして遠し、登高1里8町。
↑諸岩山、月生山、明覚山 

【月生山】

 同郡園里村にては棚山と云う。
 高さ142丈、周囲未だ実測を経ず。村の南に在り。
 嶺上より三分し、南は園里村に属し、西は日瀧村に属し、東北は本村に属す。
 山脈、東は室岩山に連り、西は明覚山に連る。樹木鬱蒼たり。
 登路2條、一は瀧ノ入りより、東嶺を越えて園里村に通ずる路線なり。嶺上迄20町険なり。 一は水澤原を経て登る、登高28町易なり。

【勝山】

勝山 【勝山】
 高さ45丈、周囲18町30間、村の東南に在り。
 山脈、東は室岩山に連る。全山樹木多し。
 登路1條あり、村の東方、水越より嶺上に至る。登高18町。
↑高社山、山田村の山、城山、勝山


牧村の山

牧村絵図
↑明治初期に制作された【牧村(絵図)】長野県立歴史館蔵
 掲載許可者:長野県立歴史館(平成24年3月7日)(クリックすると拡大表示します)

編輯

明治14年5月(明治16年11月追加)
 村誌編輯掛 山崎平左衛門
 戸   長 山崎康行

湯澤瀧澤山の内【小倉山】

悪婆山 【小倉山】
 高さ凡そ342丈、周囲1里30町、未だ実測を経ず。本村中央より巳八分にあり。
 頂上にて二分し、南は本郡園里村に属し、東西北は本村に属す。
 山脈、南は本郡園里村、鎧石山に連なり、東は本村雨池山に連り、西は本村牛房小場に亙り、北は樋澤川に峙つ。雑樹多し。

湯澤瀧澤山の内【雨池山】

 高さ凡そ336丈、周囲1里50町、未だ実測を経ず。本村より辰の三分にあり。
 頂上にて二分し、南は本郡園里村に属す。東西北は本村に属す。
 山脈、南は本郡園里村鎧石に連なり、東は本村床名山に連なり、西は本村小倉山に連なり、北は樋澤川に峙つ。雑樹多し。

湯澤瀧澤山の内【床名前山】

 高さ凡そ330丈、周囲1里40町、未だ実測を経ず。本村中央より辰の九分にあり。
 頂上にて二分し、南は本郡園里村に属し、東西北は本村に属す。
 山脈、西は本村雨池山に連亙し、東は本村破風嶽に亙り、南は本郡園里村、大平山に連なり、北は本村樋澤川に峙つ。雑樹多し。

湯澤瀧澤山の内【破風嶽】(破風ヶ岳)

破風岳 【破風嶽】
 高さ凡そ480丈、周囲1里35町、未だ実測を経ず。本村中央より辰六分にあり。
 嶺上にて三分し、東は上野國吾妻郡干俣村に属し、西北は本村に属し、南は本郡園里村に属す。
 山脈、西は本村床名前山に連り、東は上野國吾妻郡干俣村山に接し、南は本郡園里村、大平山に亙り、北は本村樋澤川に峙つ。樛樹、黄楊樹多し。

湯澤瀧澤山の内【大平山(おおでいらやま)】

老ノ倉山 【大平山】
 高さ凡584丈、周囲1里4町、未だ実測を経ず。本村中央より辰の五分にあり。東西南北、本村に属す。
 山脈、東は本村御飯ヶ嶽に綿亙し、西は本村上福井に接し、南は本村樋澤川に峙ち。北は本村柞澤川に峙つ。草野多し。
↑大平山、老ノ倉山

湯澤瀧澤山の内【御飯ヶ嶽】(御飯岳)

御飯岳
↑万座山、御飯岳、老ノ倉山
【御飯ヶ嶽】
 高さ凡そ540丈、周囲3里20町、未だ実測を経ず。本村中央より辰の三分にあり。
 頂上にて二分し、東は上野國吾妻郡干俣村に属し、西南北は本村に属す。
 山脈、東は上野國吾妻郡干俣村山に接し、西は本村大平山に亙り、南は本村破風嶽山に接し、北は本村黒湯山に連り、樛樹、黄楊樹多し。
 渓水3條あり、其の2水は御飯ヶ嶽西面の中央より発し、2水相会して西流して樋澤川となる。 一は御飯ヶ嶽北の麓より発し、大カラ沢へ下流す、其長さ凡そ2町なり。

【老ノ倉山】

 高さ凡そ340丈、周囲12町40間、未だ実測を経ず。本村より卯の四十分にあり。全山本村に属す。
 山脈、南は御飯ヶ嶽に接し、北は中日影山連亙す。東は大カラ沢に峙つ、西は乙登見山に連亙す。笹或は草野或は樅樹等多し。
 該山東面の麓、御飯ヶ嶽と直接なる処に、一の小なる池あり。渓水、條其池より発し、大カラ澤を下流して松川に入る。長さ25町22間、幅7尺なり。

(奥日影山ノ内黒湯山以下列記する処の諸山、当時本村ト本郡奥山田及中山村と争論中)の附箋あり。

奥日影山の内【黒湯山】

黒湯山 【黒湯山】
 高さ凡そ510丈、周囲2里、未だ実測を経ず。本村より卯の九分にあり。
 頂上にて二分し、南は上野國吾妻郡干俣村に属し、東西北は本村に属す。
 山脈、南は上野國吾妻郡干俣村山に走り、北は松川に峙つ。東は本村満山に連なり、西は本村大カラ澤に峙つ。栂樹、黄楊樹多し。
↑黒湯山、御飯岳、老ノ倉山

奥日影山の内【満山】(万座山)

万座山 【満山】
 高さ凡そ522丈、周囲2里30町、未だ実測を経ず。本村の中央より卯の八分にあり。
 頂上にて二分し、東西北は本村に属し、南は上野國吾妻郡干俣村に属す。
 山脈、南は上野國吾妻郡干俣村山に接し、東は本村白根山に亙り、西は本村黒湯山に亙り、北は松川に峙つ。栂樹、黄楊樹多し。
↑万座山、御飯岳

奥日影山の内【白根山】

白根山 【白根山】
 高さ凡そ580丈、周囲2里50町、未だ実測を経ず。本村より卯の六分にあり。
 頂上にて三分し、西北は本村に属し、南は上野國吾妻郡干俣村に属し、東は同國同郡入山の内、草津温泉に属す。
 山脈、南は上野國吾妻郡干俣村山に連り、東は同國同郡入山村の内、草津山に接し、北は本村乳山連なり、西は本村満山に連亙し、栂樹、黄楊樹多し。
↑乳山、白根山

奥日影山の内【乳山】

乳山 【乳山】
 高さ凡そ444丈、周囲1里20町、未だ実測を経ず。本村より卯の五分にあり。
 頂上にて二分し、東は上野國吾妻郡入山村の内、草津温泉場に属し、西南北は本村に属す。
 山脈、東は上野國吾妻郡入山村の内、草津山に接し、西は松川に峙つ。南は白根山に連亙し、北は本村池ノ塔山に亙り、栂樹或は黄楊樹多し。
↑横手山、乳山、池ノ塔山

奥日影山の内【池ノ塔山】

池ノ塔山 【池ノ塔山】
 高さ凡そ384丈、周囲1里40町、未だ実測を経ず。本村より卯の二分にあり。
 頂上にて二分し、東は上野國吾妻郡入山村に属し、西南北は本村に属す。
 山脈、東は上野國吾妻郡入山村山に接し、北は松川の水源なる本澤を越して、横手山に接し、西は松川に峙つ。南は本村乳山に連亙し、或は本村大門澤に峙つ。
 該山頂に信濃、上野両國の境界、即ち同山と横手山との直接なる間、東部に一の池あり、東西15間、南北10間、深さ5尺、其池より西流して松川となる。
↑池ノ塔山、乳山


日瀧村(現・須坂市日滝)

日滝村絵図
↑明治14年に制作された【日滝村之図】長野県立歴史館蔵
 掲載許可者:長野県立歴史館(平成24年3月7日)(クリックすると拡大表示します)

【明覚山】

明覚山 【明覚山】
 園里村に於ては柵山と称す、高井村に於ては水澤山と称す。
 高さ190丈、周囲未だ実測を経ず。本村の辰の方にあり。
 嶺上より三分して、南は園里村に属し、東は高井村に属し、西北は本村に属す。
 山脈、東は月生山に接し、西は鳶ヶ岩に連り、北は天狗岳に続す。樹木多し。
 登路2條あり、一は村の南端より東へ登り、字南原を経て南へ折れ、嶺上に至る高さ24町29間、険にして近し。 亦1條は、鳶ヶ岩の北方より登る、高30町41間。
 渓水1條其の麓より発す、細流8町6間にして、八木澤川に入る。

【天狗岳】

鞍掛山 【天狗岳】
 高井村にては鞍掛山と称す。
 高さ90丈、周囲未だ実測を経ず。本村の卯の方にあり。
 山嶺を二分し、東北の二方高井村に属し、西南の二方は、本村に属す。
 山脈、南は明覚山に連る、樹木鬱蒼たり。
 登路1條、村の東北より登る、高16町25間、険なり。
 渓水1條あり、字虎石牛石の間に発して清し。梅香水と称す。2町50間、西流して八木澤川に入る。
↑鞍掛山、白馬三山、飯綱山


参考にさせていただいた資料

最終更新 2012年 6月24日

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