カシワ(槲・柏)

カシワ
カシワ
 皐月の空にあちこちの家で鯉幟が泳ぐようになるとカシワの若葉が伸び出し、枝の付け根から緑色の雄花がぶら下がっています。
 葉の付け根に雌花がありますが、こちらはほとんど目立ちません。
 カシワの葉が秋に枯れても落ちず春になって新芽が伸び出すまで残っている様を、”親が子の成長を見届けて家督相続する”ことになぞらえ、子孫繁栄に繋がる縁起のいい木とされてきました。 (反対に、いつまでたっても親が出しゃばって子離れできず、世代交代がうまく行かない象徴として忌避する地方もあるとか。)

北信地方では、お嫁さんを迎えてから初めてのお節句(月遅れが多い)を「初節句」と呼び、親戚に「柏餅」を配ります。 その後、初めての男の子が産まれると、親元や仲人、親戚から、鯉幟、武者幟、武者人形や兜飾りなどがお祝いに贈られ、お返しに「柏餅」を配るという習慣があります。
米の粉を蒸して搗き、丸く平らに延ばした上に餡を乗せて二つ折りに包み、カシワの葉で包んで蒸し上げる(蒸してから包む)と「柏餅(この辺では”かしゃもち”と呼ぶ)」が一丁あがりです。

「柏餅」に欠かせないカシワの葉も旧暦か月遅れのお節句なら新しい葉を使えますが、 新暦のお節句に柏餅を供えるためには芽生えたばかりの若葉は使えず、当然、落ちた枯れ葉は使い物にならないため、 前の年に採って塩漬けしておいた葉や、乾燥して保存しておいた葉を戻して使うか、温暖な外国から輸入したものを使うことになります。
 最近はポリエチレンの代用品を使ったり、カシワが自生していない地方ではサルトリイバラの葉を利用するのだそうですが、 カシワの葉の香りは味わえません。

かしわ【槲・柏】:
1)ブナ科の落葉高木。高さ15メートルに達し、樹皮に深い裂け目がある。葉は大きく、周辺に深い波状の鈍鋸歯がある。 枝葉ともに細毛を密生。雌雄同株。4〜5月頃、新葉とともに黄褐色の尾状花序を垂らす。 樹皮のタンニンは染料、材は薪炭、葉は食物を包む。モチガシワ。炊葉(かいば)。 誤って「ははそ」ともいう。
2)(はく)(ヒノキ・サワラ・コノテガシワなどの常緑樹)を古来「かしわ」と訓みならわす。
3)(多くカシワの葉を使ったからいう)食物や酒を盛った木の葉。また、食器。くぼて。ひらで。
4)「かしわもち」の略。
5)紋所の名。カシワの葉をとり合せたもの。抱き柏(だきがしわ)・違い柏・三つ柏・三葉柏など種類が多い。 広辞苑

科名 ブナ科コナラ属
学名 Quercus dentata
薬効
季語
撮影 2009年 4月30日
更新 2009年 5月 5日

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【花の色】   青〜青紫      赤〜朱  黄〜橙    混合
【実の色】 黒〜黒褐色  赤〜橙色  紫色  茶〜褐色  緑色  黄色  白〜灰色  色々
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