JA須高・高山りんご共撰所ではりんごの出荷期間中に直売所を開設し、毎日、新鮮なりんごとジャムやジュース、アップルワインなどを販売しています。
お客様は近隣の市町村はもとより、関東、北陸、東海、関西方面などからたくさん来所され、土日や祝祭日には、交代で共撰所に勤務するりんご部会の役員もにわか売り子になってお客様と応対しています。
そんなお客様と売り子のやりとりです。
『りんご詰め放題』イベントは大人気です。
(写真と本文の内容の関連はありません)
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おばちゃん:《秋映》の家庭用を何箱も台車に積み上げ
「おっちゃんなあ、こんなにこうたんやさかい、まけてえな」
売り子:「今日は特売で通常より安くしておりますので、これ以上は値引きできませんねえ」
おばちゃん:「そんなこといわんと、わざわざ大阪か来たんやさかい、もっと安くしてえ」
売り子:「分かりました。こうしましょう。明日お越しください。明日になれば通常の値段で販売していますが、お客様には特別に今日の値段まで値引きして差し上げます」
おばちゃん:「ほな一緒やないか」
※商売できるほど大量にお買い上げいただき、ありがとうございました。
大量に積み上げてある《秋映》のオープン段ボールをあれこれ吟味され、1箱持ち上げようとした拍子に下にあった段ボール箱の出っ張りが引っ掛かり、その下の2箱がひっくり返ってりんごが地面に散乱してしまいました。
紳士:手に段ボール箱を抱え
「引っ掛かったようだね。ところでこれを買うから何かサービスしてくれんかね」
売り子:「・・・」
転がったりんごを拾い集め、その中で一番打撲傷の大きそうなりんごを1個お渡しして
「はいサービスです。お買い上げありがとうございました」
※次回はお気を付けください。
ちなみに、地面に転がって傷だらけになったりんごは「試食りんご食べ放題」と「品種あてクイズ」で全部使用しました。
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パレットに積み上げてある《シナノスイート》の一番下の段ボール箱を引っ張り出そうと奮闘しながら
おばちゃん:「おっちゃん、これ出してくれへん?」
売り子:「お客さん、りんごの箱は上の方が新しいんですよ。」
おばちゃん:「ええっ!ほんまかいな?」
売り子:共撰所の中を指さして
「あちらで選果した順にパレットへ積んですぐここに運んできますから、一番上の箱がいちばん新しいんですよ。ほんの数分ですけどね」
おばちゃん:「そらそやな」
※結局一番上の箱をお買い上げいただきました。
中のりんごがいちばん新しいとは一言も申しておりません。
特売の《秋映》をたくさんお買い上げになり
お客さん:「これだけ買ってったらみんな喜ぶだんべなあ」
売り子:「群馬のみなさんでしたらそりゃあもう大喜びなさいますよ」
お客さん:「どうして群馬だと分かった?」
売り子:「鳥居峠に『”ずら”と”だんべ”の国境』という看板が立っていますから、すぐ分かりましたよ」
お客さん:「???」
※上信越道の開通前は、北信から関東や東北方面へ行くには須坂から菅平に上り、国道144号線の鳥居峠を越えて群馬県嬬恋村へ抜けるルートがもっとも近道でした。
今でも峠に看板は残っているのでしょうか?
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《シナノスイート》のオープン段ボール箱をあれこれ見比べながら
おばちゃん:「おっちゃんなあ、このりんご青いから美味しくないんちゃう?」
売り子:「葉っぱの陰になっていたところが青く残ってるんですよ。りんごの養分は葉っぱで作られるので、陰があるのはたくさん養分が送られた証拠だから美味しいんですよ」
おばちゃん:「おっちゃん、うまいこと言いよんなあ」
売り子:「美味いりんごなら作ってますけど、上手いことなんて言えませんねえ」
※美味しいりんごをたくさんお買い上げいただきありがとうございました。
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奥さん:《シナノスイート》のオープン段ボールをご覧になって
「この箱はどうして安いの?」
売り子:「霜に遭って表面が梨のようにざらざらしたり、枝に当たってすり傷があるものは市場に出荷できませんが、味は変わらないのでご家庭用として販売しております」
奥さん:「あら可愛そう、不細工なのは値段が安いのね。私と一緒で親近感が沸いちゃうわあ」
売り子:「ご家庭で召し上がるには美味しければいいんですよね」
奥さん:「そうそう」
※とびきり美味しそうな《シナノスイート》の箱を選んでさしあげました。
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奥さん:試食のりんごを味見しながら
「あちらの箱に”秀”と”○秀”とあるけど、どう違うの?」
売り子:「一言でいうと見てくれですね。”秀”は見栄えが良く、”○秀”はちょっと色や形が悪いものになります。奥さんのような別嬪さんのりんごは値段が高いんですよ」
奥さん:片手でしなを作りながら
「あ〜ら、そお〜お」
売り子:「味は変わりませんけどね」
旦那さん:「うんうん」
奥さん:「???」
※ご家庭用《シナノスイート》を1箱お買い上げいただきました。
奥さん:並び始めたばかりの《サンふじ》を物色して
「このりんご美味しい?」
売り子:「そうですねえ、まだ走りですからちょっと若いかもしれませんね。」
奥さん:「私が年寄りだからちょうどいいわね」
売り子:「たっぷり若さを召し上がってどんどん若返ってください」
※《サンふじ》のご家庭用をお買い上げいただきました。
《サンふじ》のオープン段ボール箱をあれこれ見比べながら
おっちゃん:「こん中でどれが美味しいんかいなあ?おっちゃん選んでや」
売り子:「そうですねえ、この箱は『ツル割れ』のスタンプが押してあるので一番美味しいですよ」
おっちゃん:「ほんまかいなあ、色が赤くないやん」
売り子:「中身が詰まりすぎて皮が破れちゃったんですよ。もしご心配なら両方お買い上げになって食べ比べていただけば違いがよく分かりますよ」
おっちゃん:「ようけ買わせようと、うまいこといいよんなあ」
売り子:「割れたところに雨水が溜まると、そこから傷んでくるので日持ちはしませんけどね」
※結局、色の良いりんごの入った箱を自己責任でお選びになりました。
多少ロスはありますが、ツル割れのあるりんごは色が悪くても美味しいことが多いんですけどね。
お客さん:贈答用の段ボール箱を指して
「これの中を見せてくれへんか?」
売り子:「申し訳ございません。偽造防止用のシールで封緘しておりますのでご勘弁ください」
お客さん:「わしは中を確かめて送りたいんじゃ。銭は払うから中を見せてんか」
売り子:「かしこまりました」
※お金をいただいてからシールをはがし、ステープラの針を外して中身をしっかりご確認いただきました。
店頭のサンプルは国産の松茸だったのに、送り届けられたものは北朝鮮産の松茸だったというどこかの土産屋とは違いますのでご安心ください。
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奥さん:「このジュース美味しいわね、本物の味がするわ」
売り子:「そうなんですよ。撰果して生食用にならなかったりんごを使った100%果汁ジュースですからね」
奥さん:「あらそうなの」
※たっぷり試飲され、何もお買いにならずお帰りになりました。
ご婦人:「ここには梨はないの?」
売り子:「ここはりんごの共撰所ですので、あいにく梨は扱っておりません」
ご婦人:「あらそうだったの、おほほ」
※片っ端からご試食・ご試飲なさってお帰りになりました。
次回は普段着でお越しいただき、詰め放題に挑戦してください。
試食りんごを片っ端からぱくぱく召し上がりながら
お母さん:「《シナノスイート》ノ”シナノ”ッテドウイウイミデスカ?」
売り子:「長野県の昔の呼び名です」
お母さん:「ジャア”シンシュウ”トオナジ?」
売り子:「まあそうです」
お母さん:「コノフクロニハ、ドレクライハイッテルノ?」
売り子:「1.5キログラムです」
お母さん:「コノハコニハドレクライハイッテルノ?」
売り子:「5キログラム入ってます」
お母さん:「ココデハ、ハチミツハウッテナイノ?」
売り子:「蜂蜜はないですねえ、りんごなら売るほどありますが」
お母さん:「コノヘンデハチミツヲウッテイルトコロアリマスカ?」
売り子:「須坂に鈴木養蜂場さんがあります」
お母さん:「ヨーホージョー?」
売り子:「ミツバチを飼育して蜂蜜を収集する業者さんです」
お母さん:(息子さんに向かって)「ワカッタ?」
息子さん:「うん、ぼく分かった」
※その後も盛んに試食・試飲されてからお帰りになりました。
鈴木養蜂場さんのお店の場所を教えなかったけど、ちゃんとたどり着けたかな?道順の教え方が分からなかっただけで、決してりんごを買っていただけなかったから意地悪したんじゃありませんよ。
お客さん:試食のりんごをぱくぱく召し上がりながら
「ここには安い野菜などは売ってないの?」
売り子:「すいません、ここはりんごの共撰所で、りんごなら売るほどございますが野菜はございません」
お客さん:「この辺で野菜などを売ってるところないの?」
売り子:「中野インターの近くに大きな店がございますが」
お客さん:「ああ『オランチェ』ね」
※県外の方が『JA中野市農産物産館オランチェ』をご存じとは驚きです。さすがJA中野市。
奥さん:カットされたりんごを召し上がってから
「これだと思うわあ」
と解答用紙に《秋映》と書いて提出されました
売り子:「残念でした、違いましたねえ」
ご主人:横から覗いて
「ええっ!違ったの?僕もそれだと思ったんだけどなあ」
といいながらすかさず《シナノスイート》に書き直し
「じゃあこっちかな?」
売り子:「はい正解です。おめでとうございます」
小玉りんごを1つ差し上げました。
奥さん:流し目で
「さっきの書き変えたらだめ?」
※女性に優しい売り子はつい大きめなりんごを1つ差し上げてしまいました。
段ボール箱のりんごをお買い上げのお客様には、箱の中のピンポン球をつかんだ数だけ小玉りんごを差し上げる『ピンポン球つかみ取り』に挑戦していただきました。
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奥さん:引き替えチケットを差し出して
「これいただいたんだけど、どうするの?」
売り子:「ピンポン玉のつかみ取りにチャレンジしていただきます。この箱の中のピンポン球をつかんだ数だけ小玉のりんごをプレゼントいたします」
奥さん:「両手でいいの?」
売り子:「お子様は両手、大人は片手でお願いします」
奥さん:「あらそう。じゃあお父さんのほうがいいわね。おとうさ〜ん、ピンポン球をつかんだらりんごをいただけるんですって」
ご主人:「ええっ、俺がやるのかい。おまえがやればいいじゃないか」
奥さん:「だめよ、私は手が小さいんだから、あなたのほうがたくさんつかめるわ」
売り子:「今までの最高記録は13個です。女性でも9個つかんだ方がいらっしゃいますよ」
ご主人:「うまくつかめないなあ」
奥さん:「下からすくえばいいのよ」
ご主人:「穴から手を出すときに引っ掛かって落っちゃうよ」
奥さん:「袖が邪魔になって出てこないのよ、袖まくりしなさいよ」
ご主人:「そうだね、でもうまくできてるなあ、とても10個なんていかないなあ」
奥さん:「そんなこといわないでたくさんつかんでよ」
ご主人:「うまくいかないよ、はいこれだけ」
売り子:「1,2,3・・・と平均的に7個ですね。コンテナの中からお好きなりんごを7個お持ちください」
奥さん:「好きなのを選んでいいのね」
売り子:「奥さんも熱心に応援なさいましたので、1個プレゼントしましょう。全部で8個お持ちください」
奥さん:「あら嬉しい、ありがとう」
※どんなものでもただでもらえるのは嬉しいものですね。
お客さん:「この近くに福島正則の屋敷があると聞いたんですけど」
売り子:「100メートルくらい行った左側に石垣があります。そこが屋敷跡です。」
お客さん:「屋敷はないんですか?」
売り子:「屋敷はないですね。屋敷跡にちょっとした看板が立っているだけで、あとは高井寺というお寺が建っていて、福島正則の掛け軸が残っているようです。」
お客さん:「屋敷は残っていないんですか、それは残念」
※歴史の好きな女性を『歴女』と呼ぶそうですが、福島正則の終焉の地を尋ねて来るとは相当のマニアですね。
お客さん:「この近くに滝があるって聞いたんだけど、どう行ったらいいの?」
売り子:「この道をまっすぐ20分くらい上っていくと、右側に『八滝(やたき)』があります。展望台に登ると、山の向こう側を落ちる滝がよく見えます。
そこからちょっと行くと『雷滝(かみなりだき)』があります。駐車場に車を止めて降りていくと、豪快な滝が現れます。水が流れ落ちる裏側もご覧になれますよ」
お客さん:「ああそう。どうもありがとう」
しばらくすると
お客さん:ちょっと興奮気味に
「行ってきたわよ!すっごい滝でびっくりしちゃった!! 雪が少し残っていて通行止めのロープが張ってあったけど、足跡があったので行っちゃった。そしたらごうごうと流れてて、すごかったわあ。」
売り子:「それはよかったですねえ。一番下まで降りていらっしゃいました?」
お客さん:「うん、滑りそうで怖かったけどがんばって行ったのよ!よかったわあ」
※松川の水が一気に流れ落ちる『雷滝』は高山村の名勝で、新緑と紅葉の季節は観光客でたいへん混雑しますが、冬期間は凍結して危険のため通行制限されます。くれぐれも自己責任でご覧ください。
お客さん:「このへんで景色のいい露天風呂はあるかい?」
売り子:「高山村に温泉が8カ所、須坂市に2カ所、小布施にも1カ所、ここから30分以内で全部行けます。万座温泉も小一時間で行けます」
お客さん:「景色のいいところがいいんだけどねえ」
売り子:「開けた景色なら蕨温泉や小布施温泉でしょう。ちょっと時期遅れですが渓谷をご覧になるのなら松川、五色、七味温泉がいいでしょう。子安温泉は秘湯ですね」
お客さん:「蕨温泉は行ったことがあるよ。この道をまっすぐ行けばいいんだよね」
売り子:「道案内通りにお進みください」
※みなさんよくご存じで、こちらが試されているようです。