久保の家
ホーム → 北信州の方言 → 北信州のはなしことば → 「な」   sitemap

北信州のはなしことば 「な行」

「な」(21) 「に」(4) 「ぬ」(1) 「ね」(7) 「の」(22)

おことわり:ことばの解釈や用法、語源などは、あくまでもこのページの管理者が勝手に判断したもので、学術的な根拠に基づくものではありません。説明が不適当だったり、間違っているものがありましたら、ご容赦ください。

さくいんに戻る

「な」

「なう」
漢字では「綯う」。藁をよりあわせて縄にすること。
普通の縄は”右縒り”で綯うが、注連縄や注連飾りは”左縒り”に綯う。
「なから」
漢字では「半ら」。 ”おおむね”。共通語の概念とは異なる。
なから:およそ半分。なかば。広辞苑
「〜なして」
”〜してください”という意味。
「よっとくんなして」(家にお入りください)
「お休みなして(おやすみなさい)
「なす」
借金を返済することを「借金をなす」という。漢字では「済す」。
なす:
1)義務を果す。完納する。
2)借りたものを返す。返済する。広辞苑
「なせぇ」
傾斜が緩やかなことをいう。「緩い(なるい)」こと。
なせぇな坂道」(傾斜が緩やかな坂道)
「なっちょかに」
”適当に”。
なっちょかにやっとけや」(適当にやっておいてください)
「なっちょに」(【なっ】が低く【ちょに】を上げる)
”どんなにか”。
なっちょによからず」(どんなにか、いいでしょうかねぇ)
「なっちょも」(【なっ】が高く【ちょも】を下げる)
”何とか”、”何とかして”。
なっちょも台風あっち行ってくれればいいんだけんなあ」 (何とか台風があっちの方へ行ってくれればいいんですけどねぇ)
「なっちょも」(【なっ】が低く【ちょも】を上げる)
(否定的に)”何にも”、”何とも”。
「この旱魃じゃあ、ちっとばか雨降ったってなっちょもねえ」 (この旱魃では、少しくらい雨が降ったとしても何ともない)
「なっとも」(【なっ】が高く【とも】を下げる)
”何とも”。
「悪さばかこいてなっともしょおねえもんだ」 (悪戯ばかりして何とも仕方のないことだ)
「なにしごとに」(【なっ】が高く【に】を下げる)
”ついでのときに””片手間に”といった意味。
「南瓜植えるとこなんかなにしごとに作っといてやるよ」 (南瓜の苗を植えるところなんか、ついでのときに作ってあげますよ)
「なにぞお」
”(複数で)何を”。
「明日は畑へなにぞお持ってけばいいんだやぁ」 (明日は畑へ何を持って行けばいいんでしょうねぇ)
「なむねぇ」
”とてつもない”。「なむねぇでっかいカボチャができた」(とてつもなく大きなカボチャができた)
「ならば・・・」
”できれば・・・”という意味。「できることならば」が縮んだ。
意思や願望を含めて否定的に使う。
「なり」
”身なり”のこと。
「そんなみっともねえなりするもんじゃねえ」
なり【形・態】:
1)かたち。そうなった、ものの形状。
2)身なり。衣裳。
3)からだつき。広辞苑
「・・・・なる」
”・・・・なさる”が省略された形。
「・・・・しゃる」「・・・・らる」と同様の敬語表現。
「来なる(お出でなさる)」「食べなる(お食べなさる)」「帰りなる(お帰りなさる)」「行きなる(お行きなさる)」
「なりきに」
”〜なりに”という意味。
「としょりゃとしょりなりきに手伝うんさあ」
(年寄りは年寄りなりに手伝いをするものですよ)
「なるい」
傾斜がゆるいこと。漢字では「緩い」。
なるい:なだらかである。おだやかである。また、はきはきしない。広辞苑
「なるたけ」
”なるべく”とか”できるだけ”という意味。
「なんぎ」
重労働を「なんぎな仕事」という。
重労働をして疲れたり、病気で体の動きが悪いとき「あーなんぎだ」という。
漢字は「難儀」だが、共通語の”難儀”とはかなり意味や使い方が違う。
なんぎ【難儀】:
1)むずかしいこと。容易ならないこと。
2)くるしむこと。なやむこと。
3)わずらわしいこと。面倒な事柄。困難。
4)貧窮。貧乏。広辞苑
「なんけり(で)も」
”何度(で)も”。”何回(で)”も
なんけりも繰り返してやっと覚えた(何度も繰り返してやっと覚えた)」
「うんまくなるまでなんけりでもやってみろ(上手になるまで何回もやってみなさい」
上に戻る

「に」

「にかぼこ」
年端の行かない赤ん坊のこと。
「になう」
重量物や大きな物を”一緒に持って運ぶ”こと。
一人で運ぶときには使わない。
に‐な・う【担う・荷う】:
1)肩に掛けてはこぶ。かつぐ。かたげる。
2)自分の仕事として身に引き受ける。おう。広辞苑
「にやか」
”賑やか(にぎやか)”のこと。「ぎ」は発音しにくいので省略された?
「にょらいさん」
浄土真宗の門徒が”阿弥陀如来”を親しんで呼ぶことば。
上に戻る

「ぬ」

「ぬくとい」
”暖かい”
上に戻る

「ね」

「ねーど」
”無いですよ”
「おらちにはお宝なんかねーど」(我が家にはお宝なんか無いですよ)
「ね〜る」
”眠る”こと。
「としょりは5時間もね〜ればいい」 (年寄は5時間も眠れば十だ)
「ねくなる」
”無くなる”が訛った。
「この冬はさびかったんで焚きもんが早くねくなった」 (この冬は寒かったので焚物が早く無くなった)
「ねこのしっぽ」
”末っ子”のこと。「猫の尻尾」。
「次男三男猫の尻尾」
「ねっから」(【ね】を低く【から】を上げる)
”あまりよくない”、”いまいち”という感じ。
「今日の天気はねっからだなあ」(今日の天気はいまいちだなあ)。
ねっから:”根から”を強めて言う語。(下に打消を伴って) 少しも。一向。てんで。広辞苑
「ねなくら」
”たわごと”
「ねばれ」
”根払い(ねばらい)”が訛った。山林の「下草刈り」の事。
上に戻る

「の」

「のいばり」
”抜い針(ぬいばり)”が訛った。
「のいもん」
”抜い物(ぬいもの)”が訛った。
「のう」
”抜う(ぬう)”が訛った。
「のお」
”尚更(なおさら)”、”余計に”、”更に”という意味。”なお”が訛ったらしい。
「邪魔だからせって木の枝切ればのおげんきんなる」
(邪魔だからというので木の枝を切ると余計に元気になる)
「のか」
”糠(ぬか)”が訛った。
「のかる」
”抜かる”が訛った。
「雨降って道がのかるんであるきずれ」(道が抜かるので歩きにくい)
「のき」
”貫(ぬき)”が訛った。
ぬき【貫】: 柱と柱とを横に貫いて連ねる材。その位置により地貫・胴貫・内法(うちのり)貫・頭(かしら)貫などという。 広辞苑
「のきえり」
”抜襟(ぬきえり)”が訛った。
ぬきえり【抜襟】:「ぬきえもん」に同じ
ぬきえもん【抜衣紋】:和服の着付け方の一。後襟を下げて、襟足が出るように着ること。 ぬきえり。のけくび。ぬぎかけ。仰衣紋(のけえもん)。 広辞苑
「のく」
”抜く”が訛った。
「のぐ」
”脱ぐ”が訛った。
「のけおちる」
”抜け落ちる”が訛った。
「頭洗ったら頭の毛えっぺのけおちた」(洗髪したら髪がたくさん抜け落ちた)
「のける」
”抜ける”が訛った。
「プリンスメロンのほどがのけたんで食べられるど」(プリンスメロンのへたが抜けたので食べられるよ)
「のすっと」
”盗人(ぬすっと)”が訛った。
「のすむ」
”盗む(ぬすむ)”が訛った。
「積んどいた籾そっくりのすまれた」(積んでおいた籾が全部盗まれた)
「のっぺす」(【ぺ】を上げる)
”なまける”こと。「のめす」ともいう。
「のふて」
”温かい”、”暖かい”。「のくて」ともいう。
”温い(ぬくとい)”が訛った「のふとい」が更に訛った。
反対は「ちびて(冷たい)」、「さび(寒い)」。
「のふとい」
”温かい”、”暖かい”。
”温い(ぬくとい)”が訛った。
「のめす」(【め】を上げる)
”なまける”こと。
のめしてばっかいたもんで力が出なくなった」(怠けてばかりいたので、力が出なくなった)
「のりい」
”温い(ぬるい)”が訛った。
のりいお茶出された」(温いお茶を出された)
「のりばし」
”塗箸(ぬりばし)”が訛った。
「のる」
”塗る(ぬる)”が訛った。
「トタン屋根にペンキのる(塗る)」
「のれる」
”濡れる(ぬれる)”が訛った。
「雨降ってきたから早く家ん中へえらねえとのれるど」(早く家の中に入らないと濡れるよ)
上に戻る
さくいんに戻る
ホーム → 北信州の方言 → 北信州のはなしことば → 「な」